女神の冠

使用素材 K18YG、ダイヤ 0.31Ct ボルダーオパール
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このジュエリーの素材と魅力

この6.41Ctのボルダーオパールに出会った瞬間、美しいブルーの珊瑚礁が思い浮かびました。
宝石はすべてそうなのですが、中でもオパールという石は特に、大自然の叡智を思い起こさせてくれる石です。
ひとつひとつの石の個性が顕著に現れている為でしょうか……それとも、肉眼でも見える不思議色のせいでしょうか?
私はオパールという石にとても魅力を感じますし、見れば見るほど、不思議な色に惹き込まれます。
このオパールの美しさを最大限に生かすには、どうすればよいかを考えてデザインさせていただいたのが、「女神の冠」です。
豊かな海の色の周りに、18Kイエローゴールドの唐草をひとつずつ巻いて、立体的にセットしてみました。金の唐草にはダイヤを0.31Ctあしらって、華やかさを演出しています。
唐草はとても美しく、私の大好きなモチーフなので、プリンセスジェムのジュエリーにはよく登場しますが、美しく仕上げるためには大変手間ひまがかかり、困難な作業になります。
唐草を美しく輝かせるために、爪楊枝や綿棒の芯を尖らせたものを使って、細部まで丁寧に磨いています。
職人泣かせのデザインですが、それでも私は、やはり唐草が大好きです。

ジュエリーに込められた物語

王様は少し困っていました。
我が国の次期王となる王子が、聞いたこともない小さな国の姫と結婚したいと言い出したからです。
それに、王子から届いた写真を見る限り、姫の容貌はいささか個性的です。
王様は、せめて、隣国の美しい姫ならばよかったのにと考えましたが、王子が一度言い出したら聞かないことは、王様が一番よく知っています。
「はて、どうしたものか?」
王様は珊瑚の台座に大切に置かれた今は亡き妃の王冠を見詰めて考えました。
流れるような曲線がまばゆい金色の王冠には、海よりも青い大きなオパールが取り付けられ、ダイヤが周りを取り巻いています。
このキラキラと輝く王冠は、遥か昔、海の女神さまから授かったものだと、幼い頃、母の膝で聞かされました。
海を統治する者の妃だけがかぶることを許された美しい王冠は、王様の妃が亡くなってから、珊瑚の台座に置かれたままになっていました。
この特別な王冠を、聞いたこともない小国の、ブサイ……個性的な姫君にかぶらせるのは、どうにも気が進みません。
「ううむ」
王様は先代の時から王家に仕える重臣を呼んで相談することにしました。
王子をなんとか説得する方法を考えてもらおうと思ったのです。
ところが、王様の信頼する重臣は、写真を一目見るなり満面の笑みで手を打って、「我が国に素晴らしい王妃さまがご誕生になる!」と喜びました。
聞けば重臣は、かつてこの姫に助けられたことがあると言います。
「ちょっとした失敗をして動けなくなり困っていたところを、この姫が助けてくれたのです。
姫の前にも私の前を通った者はたくさんおりましたが、皆、見て見ぬふりをして通り過ぎました。
実は、それが縁で、姫が時々我が家を訪ねてくれることもありまして……。
姫は私が王様にお仕えしている者とは知りませんので、身よりのない爺さんだと思って気遣ってくれているのです。
裏表がなく、心根の優しい、女神のような姫君です。いやあ、さすが我が国の王子はお目が高い!」
王様は驚きましたが、他の家臣を呼んでみても、息子が迷子になっていたところを助けてもらっただの、おばあさんが重い荷物を持ってもらっただのと、姫を称える声が引きも切りません。
王様は、この姫と同じように心根の優しかった王妃のことを思い出して、少し涙ぐみました。
そして、いつしか、早くこの優しい姫に、大切な家宝の王冠をかぶせたくてたまらない気持ちになっていました。